退去立会に印鑑を忘れた際、問題があるのかについてお話ししました。
この記事の最終更新日は 2023年11月5日 です。
目次
結論:退去立会で印鑑を忘れても署名をすれば特に問題ない場合がほとんどです。
理由1:法律上の観点から印鑑は必須なのかどうか
そもそも、日本に存在する契約に於いて印鑑が100%の確率で絶対に必要なケースってあるのか?って話なんですけど、これはあります。例えば、民法968条の自筆証書遺言とかがそうですね。
(自筆証書遺言)
第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089#Mp-At_968|e-Gov – 法令検索
けれど民事訴訟法の第228条4項ではこう記されている。
(文書の成立)
第二百二十八条
4 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=408AC0000000109#Mp-At_228 / e-Gov – 法令検索
ここでいう私文書ってのは何か?というと、公文書以外の文書すべてを指す。つまり個人や民間企業が独自に作った文書はすべて私文書ということになる。そして「署名又は押印があるとき」と書いてあるので、署名だけで効力を発揮するわけです。
要するに「特別な文書を除いて、世の中の大半の文書は署名さえすれば本人の意思表示を確認したものと推定する」わけです。
なので退去立会時に印鑑を忘れても問題ない
これらを踏まえた上で退去立会時に印鑑を忘れた場合はどうなるのか?って話です。退去立会時に署名が必要な書類というのは基本的には「借主(あなた)の賃貸借契約の解約の意思を示した書類」や「原状回復請求の内容に同意した書類」です。これらの文書は私文書であり公文書ではないので印鑑が要らないわけですね。署名だけで十分です。なので退去立会時に印鑑を忘れても問題ありません。